1. 導入:華やかな「表舞台」で問い直したこと
2025年、NEORTと清和ビジネス主催の公募展「#unote」において、私の2つの作品が選出され、サテライトオフィス「UN:O」の巨大ビジョンに映し出されました。自分の書いたコードが「アート」として認められ、多くの人の目に触れた瞬間の高揚感は、今でも鮮明に覚えています。
この公募に挑戦する中で、私の中に一つの小さな、けれど確かな「願い」が生まれました。それは、自己完結する表現ではなく、「誰かの役に立ち、心からの『ありがとう』を受け取れるようなアートを作っていきたい」という夢です。
2. 「認められる」から「誰かのために」へ
展示を通じて得た一番の収益は、賞賛の声よりも、ある「気づき」でした。必ずしも複雑で「おしゃれ」なものを作る必要はない。たとえシンプルな表現であっても、その場の空気を少しだけ温かくしたり、働く人の心をふっと軽くしたりできれば、表現には十分すぎるほどの価値があるのだと。
「評価されるための技術(Art)」を、いつか「誰かを支えるための技術(Care)」へと繋げたい。
オフィスデザインのプロである清和ビジネス様に、働く人のための作品として選んでいただけたことは、大きな自信となりました。この経験は、アーティストとしてのゴールではなく、「技術を届ける相手」を再定義する大切な出発点となりました。
3. 7年間の介護生活で見つめた、無機質な空間の「空白」
私は7年間にわたり、在宅介護という日常を過ごしてきました。医療や介護の現場では、効率や安全が最優先されます。それは命を守る上で当然のことですが、一方で、生活の場がどうしても無機質になり、心の安らぎや「美しさ」による癒やしが後回しにされてしまう現実を、身をもって経験してきました。
そんな心細い空間にこそ、デジタルだからこそできる柔らかな表現や、思わず見入ってしまう「穏やかな動き」が必要なのではないか。当事者として過ごした時間があるからこそ、私は「感性のホスピタリティ」を現場に実装したいという強い確信を持っています。
4. 展望:ケアの現場を「彩り」で支えるエンジニアリング
今、私が取り組んでいる「3Dの歯」の開発も、単なる正確な図解を目指しているわけではありません。患者さんが自分の体の一部を、単なる「治療対象」としてではなく、慈しむべき大切な存在として感じられるような、「アートとしての優しさ」を備えたインターフェースにしたいと考えています。
展示実績で磨かせていただいた「伝える力」を、今度は医療教育や精神的ケア、そして現場で最前線を支える人々の心を癒やすツールへと投下していきたい。それが、クリエイティブコーダーとしての私の次なる挑戦です。
5. 結び:技術の「出口」を、愛のある場所へ
私の書くコードは、もう自分の満足のためだけにあるのではありません。展示という光の当たる場所で学んだ「表現の力」を、今度は最も技術と優しさを必要とする、医療や介護の現場へと届けていきたい。
「技術は、人を幸せにするためにある」
そのシンプルな信念を、これからも一つひとつのコードと、誠実な言葉に込めていきたいと思います。
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